クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
「子供に口内炎が出来ました。どうしたらいいですか?」
「口内炎がよく出来るのですがどうしてですか?」
お口の粘膜の炎症のことを口内炎と呼びます。口内炎には様々な種類があり、原因が異なります。口内炎が良く出来る人と、殆ど出来ない人がいますが、その理由についてもご説明します。
口内炎の種類と出来る原因について
口内炎の原因はさまざまですが、主な原因はストレスによる免疫の低下、睡眠不足、栄養不足、ウイルスや細菌などの感染、外傷や薬による刺激などによって起こります。
傷が原因のカタル性口内炎、単純性口内炎
お口の中を誤って噛んだり、熱い食べ物でうっかり火傷をしたりしたときなどに出来る口内炎です。傷の出来た部分にだけ白い口内炎が出来るのが特徴で、傷の治癒と共に1週間ほどで自然に治ります。
ストレスで起こるアフタ性口内炎
アフタ性口内炎はストレスやビタミン不足によって起こります。お口の中に1個から数個の小さな潰瘍ができ、その表面は白く、周囲が赤く、真ん中が窪んでいるのが特徴です。
アフタ性口内炎は1週間ほどで自然に治りますが、再発することが多いため注意が必要です。
ウイルス感染で起こるウイルス性口内炎
ウイルス性口内炎は免疫の弱い子どもがかかりやすい口内炎です。
口内炎を専門で診療するのは主に耳鼻咽喉科ですが、口腔外科や内科、皮膚科の病院やクリニックで診療していることもありますので、電話やホームぺージで確認をしましょう。
また、高熱が出た場合は小児科を受診しましょう。
ヘルペス性口内炎・・生後6カ月~3歳の乳幼児に多い病気で、急に39度前後の高熱が出て、痛みを伴った口内炎が多数できたり、唇や舌、歯茎が赤く腫れ上がります。
ヘルパンギーナ・・乳幼児や子どもが6月下旬~8月中にかけてかかりやすい「夏かぜ」です。急に39度以上の高熱が出て、上顎から喉の周辺にかけて口内炎や水泡がたくさんできます。
手足口病・・夏に多く、口の中、手の平や足の裏に水泡ができます。3割程度が発熱を伴いますが、あまり高熱にはなりません。
カビに感染して起こる
疲れやストレスなどで免疫力が低下するとカンジダ菌が増殖して口内炎が発症します。カンジダ菌は通常身体にいる真菌(カビ)の一種です。
カビへの感染で起こる口内炎はお口の中に白い斑点が出るのが特徴で、生後2~3カ月の赤ちゃんに発症するケースが多い病気です。
その他
食べ物やくすりのアレルギーとして起こる口内炎もあります。
口内炎が出来やすい人とは?
口内炎が出来やすい人は、まず以下のことに気をつけましょう。
- 仕事による過労やストレスがないか
- 風邪などの病気で体力が低下していないか
- 食事が偏ってビタミンB群などが不足していないか
- 水分の摂取が不足していないか
体質的に口内炎が出来やすい人もおられます。お口の粘膜が薄い、食物のアレルギーがある、などです。食物アレルギーが原因の場合は、食べた物を記録しておくと原因となる食べ物を特定しやすいです。
口内炎が出来たときのセルフケア
痛くてつらい口内炎の症状を改善させるためにご自分で出来ることがありますので、以下のことを心がけてみて下さい。
1.水分補給する
まず心がけたいのが十分な水分補給です。ウイルスは乾燥した環境を好みますので、お口の中が潤った状態になるようにしましょう。
冷たく冷やした飲み物や熱い飲み物よりも体温程度の飲み物が良いでしょう。
2.栄養価の高い食事
口内炎の改善のために、栄養のある食事を数回に分けて食べます。
特に口内炎に効果的なビタミンA・ビタミンB群・ビタミンCなどのビタミン類やミネラルを補給しましょう。
ビタミンA、ビタミンB群を含む食べ物
粘膜を保護して痛みを軽減します。また、免疫力をあげて感染への抵抗力をつけす。
ビタミンA・・人参、カボチャ、ホウレンソウ、モロヘイヤ、緑黄色野菜、うなぎ、レバーなど
ビタミンB群・・牛乳、チーズ、卵、魚、豚肉、大豆製品など
ビタミンCを含む食べ物
口内炎の炎症や傷を治癒し、身体の抵抗力を向上させます。
ビタミンC・・ブロッコリー、かんきつ類、パプリカ、いちごなど
3.抗菌作用が高い食べ物
ハチミツ
ハチミツには傷の治りを早くさせる作用があります。そのため患部に塗るとよいとされています。
ただしハチミツにはボツリヌス菌が含まれているため中毒を起こす危険性があります。1歳未満の乳幼児にはハチミツを与えないようにして下さい。
梅干し
梅干しには殺菌作用が高いクエン酸が多く含まれているので患部に貼り付けると良いとされていますが、塩分の多い梅干しは患部にしみるため、少し治ってきてからにしましょう。
口内炎があるときは避けた方が良い食べ物
口内炎の痛みが強い場合は、食べ物にも注意が必要です。口内炎を悪化させないような食べ方の工夫をしましょう。
熱いもの・冷たいもの
熱いものや冷たいものは患部を刺激しますので、出来るだけ人肌程度の温度にしましょう。
塩辛いもの
塩、しょうゆの摂取は患部を刺激してかなり痛いです。かつおやこんぶ、鶏ガラなどのだしを使って味付けをしましょう。
辛いもの
唐辛子やこしょう、わさび、しょうがなどは刺激が強く、患部にしみますので、香りづけの場合も出来るだけ少量に留めましょう。
すっぱいもの
かんきつ類などの酸味の強い果物やお酢は、なるべく控えましょう。
かたいもの
かたい食べ物が患部を刺激すると、患部を傷めることがあります。例えばせんべいの角が患部に当たるとかなり痛みを感じますので、かたい食べ物は出来るだけ避けましょう。
口内炎の出来やすい人と治療方法に関するQ&A
口内炎がよくできる人とそうでない人がいます。口内炎ができやすい理由として、ストレスによる免疫の低下、睡眠不足、栄養不足、感染、外傷、薬の刺激などが挙げられます。また、体質的な要因や食物のアレルギーも口内炎の発生に関与する可能性があります。
大人の口内炎には、傷が原因のカタル性口内炎や単純性口内炎、ストレスによるアフタ性口内炎、ウイルス感染によるウイルス性口内炎などがあります。主な原因はストレス、傷、感染、栄養不足などです。
子供の口内炎には、ヘルペス性口内炎、ヘルパンギーナ、手足口病などがあります。これらの口内炎は免疫の弱い子どもがかかりやすい特徴があります。
まとめ
痛くてつらい口内炎ですが、出来るだけ繰り返さず、また症状を長引かせないためにも、口内炎の原因や対処法を知って、お口の中を健康に保ちましょう。