インプラント

インプラント治療の流れを教えて

インプラント治療の流れを教えて

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

インプラントは失った歯の機能を補うための治療です。インプラント治療の大まかな流れと注意点を「二回法」の手術の場合を例にご説明します。

インプラント治療の前に必ず確認すべきこと

インプラント治療

インプラント治療を受ける前に、以下の内容を考慮することが必要です。

1. 手術を担当する歯科医院と歯科医師について

経験豊富で信頼性のある歯科医師を選びましょう。インプラント治療は専門的なスキルが必要であるため、医師の資格と実績を確認し、信頼性の高い専門家を選ぶことが大切です。

2. 治療計画の内容の確認

歯科医師と話し合いながら治療計画を策定しましょう。これには埋入するインプラントの数や配置、手術の術式、手術のスケジュール、費用の見積もりなどが含まれます。

3. 患者さんの健康状態

インプラント治療前に、患者さんの全身の健康状態を確認しましょう。特に、心臓病、糖尿病、骨粗鬆症などの慢性疾患がある場合、治療計画に影響を与える可能性があるため、医師との相談が必要です。

4. レントゲン撮影やCTスキャン

歯科医師は、顎の骨の状態やインプラントの配置に関する詳細な情報を得るためにレントゲン撮影やCTスキャンを実施します。

5. 喫煙と飲酒の頻度

喫煙や過度の飲酒の習慣があると、インプラント体の骨との結合が遅くなったり、傷自体の治りが遅くなることがあります。これらはインプラント治療の成功率に影響を及ぼす可能性があるため、必要ならば喫煙や飲酒の頻度を減少させるか止めることが大切です。

6. 歯茎の健康状態

歯茎の状態も評価されます。歯周病などの歯茎の問題がある場合、まずそれらの治療を受けなければなりません。歯周病はインプラント治療の大敵なので、クリーニングでお口の中の歯周病菌を減らして、歯茎を健康な状態に回復させる必要があります。日常的なセルフケアの方法も見直す必要があるかもしれません。

7. アレルギーと感染症の確認

インプラント治療に使用される金属などの材料や薬物に対するアレルギーがあるかどうかを確認しましょう。また、感染症のリスクを最小限にするために、治療前に抗生物質を処方される場合もあります。

8. 費用と保険

インプラント治療の費用と、保険がカバーするかどうかを確認しましょう。治療費用はインプラントの埋入本数や骨造成の有無等によって異なります。

以上はインプラント治療の成功のために大変重要なポイントです。インプラント治療の前に、必ず確認しておきましょう。

インプラント治療の流れ

インプラント治療の流れにはさまざまな段階がありますので、順にご説明します。

1. インプラントの初診相談と検査

インプラントの相談

インプラント初診相談ではまず患者さんがお困りのことや歯を失った経緯などを伺い、その後、口腔内を診せていただき、欠損している歯の部分や周辺の歯の状態を確認します。

骨や血管の状態を知るためにレントゲン、CT撮影を行います。レントゲン、CTのデータを見ながら、どのような治療が考えられるかを患者さんにお話しします。

その後、CTデータを3D画像として様々な方向から見て治療計画をたて、患者さんにご説明します。骨が足りないため増骨の処置が必要な場合は、その手術についてもお話します。

患者さんのお口の状態にもよりますが、ここまでで2~3回の来院が必要になります。手術を受けることに同意して頂いた場合は、次のステップに進みます。

2. 手術前にしておくこと 歯のクリーニング、虫歯治療

健診のイメージ

インプラント手術の日までに歯科衛生士による歯のクリーニングを受けて頂き、口腔内の歯垢(プラーク)や歯石を取り除いてきれいな状態にします。歯茎が軽い歯肉炎を起こしている場合は、クリーニングによって炎症を抑えることが出来ます。

歯周病や虫歯がある、噛み合わせ(咬合)が悪いなどの場合には、手術までに治療を行い、口腔環境を整えておくことが大切です。特に歯周病の疑いがある場合は、先に歯周病の治療を行い、歯茎の状態を改善してからインプラント手術を行います。

3. インプラント体埋入手術(一次手術)

インプラント埋入手術後

1.手術前は患者さんになるべくリラックスしていただき、緊張感を和らげるような心がけをクリニック側では施しています。

まず、患者さんの血圧・脈拍・呼吸・体温などのバイタルサインを測定し、健康状態を確認した後、不安を和らげリラックスしていただくためのお薬を服用していただきます。

2.患者さんに全身管理モニターを装着します。必要に応じて局所麻酔、笑気麻酔、静脈麻酔処置を行い、麻酔の効果が認められたら手術を始めます。

3.インプラント体を埋めるために歯肉を切開して、歯槽骨にドリルを使ってインプラント体を埋入するための穴(インプラント埋入窩)をあけます。

インプラント体を埋込して、その頭部にカバースクリュー(蓋となるネジ)を装着し、切開した歯肉を縫合します。これでインプラント体を埋入する一次手術は完了です。

インプラントの埋入本数や手術法にもよりますが、手術時間は30分〜2時間位です。※増骨の処置を行う場合は少し手術時間が多くかかります。

術後は麻酔が覚めるまでゆっくり休んでからお帰りいただきます。

4.一次手術後の数日間は抗菌薬と消炎鎮痛薬を服用していただきます。抜糸は1~2週間後位に行います。

手術した傷口が開かないように、術後3週間ほどは軟らかめの食事をとるようにします。殺菌用のうがい薬で口をすすぎ、口腔内を清潔に保って感染から守ることが大切です。食事や歯磨きなどで、手術の傷口に刺激を与えないように十分に注意してください。

なお、術後しばらくはアルコールやタバコなどの刺激物は避けた方が良いでしょう。
特に喫煙は毛細血管を収縮させ、血流を悪くするため、手術の傷口の治療を妨げるほか、様々なリスクがあります。インプラント体埋入手術前後の少なくとも3週間は禁煙が必要ですので、喫煙者はこの際、ぜひ禁煙していただきたいものです。

5.インプラントが顎骨としっかり結合するまでの治癒期間(通常、上顎で6ヶ月、下顎で3ヶ月)は、定期的に通院していただき、経過を診ます。必要に応じて仮歯を装着することもあります。

4. アバットメント連結手術(二次手術)

インプラント体にアバットメントを連結

1.埋入したインプラントと歯槽骨がしっかり結合したことが確認できたら、インプラント体とアバットメントを連結するための二次手術を行います。

二次手術は一次手術と比べると負担の少ない手術です。インプラント体埋入部の歯肉を切開し(切開せずに、歯肉パンチという器具で歯肉をくりぬく場合もあります)、インプラント体(人工歯根)の頭部にかぶせたカバースクリューを外して、ヒーリングアバットメントという仮のアバットメントを連結します。切開した歯肉を再度縫合して(パンチの場合は縫合の必要はありません)、二次手術は終了です。

2.約1週間後に抜糸し、ヒーリングアバットメント周囲の傷が治ったら(通常1〜3週間後)、上部構造を作製するための型取りを行います。

5. 上部構造(人工歯冠)装着

インプラント治療

1.アバットメント連結後の口腔の形をとって上部構造の模型を作り、まず仮歯をお口の中に装着して、噛み合わせや適合状態を綿密にチェックします。

この仮歯を暫く患者さんに使っていただき、日常生活の中での審美性や噛み合わせなどに問題がなくなるまで調整します。

2.それをもとに上部構造の材質・形・色などを検討し、最終的に出来上がった上部構造を装着し、噛み合わせや噛み具合に不都合がないか確認します。

3.その後、日常生活において食事や会話などにも問題ないことが確認できれば、インプラント治療完了となります。

インプラント治療の流れに関するQ&A

インプラント治療にはどのような検査が行われますか?

インプラント治療では、初診相談の際に口腔内の状態を診察し、欠損している歯や周囲の歯の状態を確認します。また、骨や血管の状態を知るためにレントゲンやCT撮影が行われます。

インプラントの埋入手術はどのような流れで行われますか?

インプラントの埋入手術では、患者さんの健康状態を確認した後、局所麻酔や麻酔処置を行い手術を開始します。まず歯肉を切開し、ドリルを使用してインプラント体を埋入する穴を作り、その中に小さなネジ状のインプラント体を埋め込みます。その後、インプラント体の頭の部分にカバースクリューを装着して歯肉を縫合します。

インプラント治療が完了するまでにかかる期間はどのくらいですか?

インプラント治療の完了までには個人の状態によりますが、通常上顎では6ヶ月、下顎では3ヶ月程度の治癒期間が必要です。インプラント体と顎骨がしっかりと結合すれば上部構造(人工歯冠)の装着が行われます。

まとめ

歯のキャラクター

インプラント治療の大まかな流れは、以上のような内容になります。GBR、ソケットリフトなどの増骨の処置を行った場合は、行わない場合と比べると手術時間、治療期間、費用が多くかかります。

どんな風に治療を進めていくかは患者さんお一人おひとりによって違いますので、まずはお話をお聞かせください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院
院長 永井 伸人

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本顎咬合学会。

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クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院

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