クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
もし、子供の歯が「エナメル質形成不全」という診断を受けた時に、どうすれば良いのかご説明します。
エナメル質形成不全って何ですか?
エナメル質形成不全は、歯の表面の硬い組織であるエナメル質がうまく形成できず、エナメル質が薄い状態の子供のことをいいます。
エナメル質形成不全の症状としては、歯の表面に白いまだら模様が出来ていたり、虫歯ではないのに歯に茶色や黄色の変色部分があったりします。これらの症状の時は、エナメル質形成不全の疑いがありますので、歯科医院で診察を受けましょう。
エナメル質形成不全が重度の場合は、歯の表面を覆っているエナメル質がないために象牙質がむき出しになっていたり、歯の表面がデコボコしていることがあります。
歯の象牙質はエナメル質よりもやわらかいため、虫歯になるリスクが高く、虫歯の進行も早いため、注意が必要です。特に奥歯は噛む面の細い筋の部分に汚れがたまりやすく、歯ブラシの毛先が届きにくいために奥歯と奥歯の間も虫歯になりやすい部分です。
エナメル質とは歯のどの部分?
歯を断面図で見ると、一番外側にエナメル質という硬い層があり、その内部に象牙質、更に奥には歯髄(神経・血液)があります。
エナメル質は人体では一番硬い部分で、歯を虫歯菌等の細菌や、酸性の食品、熱い物や冷たい物の飲食から守っています。
エナメル質形成不全の原因
1.遺伝
両親のどちらかにエナメル質形成不全がある場合、子供に遺伝する場合があります。
2.外傷および虫歯によるもの
子供の頃に歯に外傷を受けたことがあったり、乳歯が大きな虫歯で損傷した時の影響が永久歯に現れた結果、エナメル質形成不全が起きることがあります。
3.胎児だった頃の母親側の原因によるもの
胎児の頃に母親の栄養不良や何らかの異常によって何本かの歯がエナメル質形成不全が起きることがあります。
エナメル質形成不全と診断されたらどうすればいいの?
エナメル質形成不全の子供は近年増える傾向にあります。
フッ素塗布
軽度のエナメル質形成不全では、歯面へのフッ素塗布を定期的に行うことで、歯質強化が出来ます。毎日のセルフケアでフッ素入りの歯磨き剤やマウスウォッシュを使ったりしましょう。
レジンでコーティングする
エナメル質形成不全が広い範囲に広がっていて、象牙質がむき出しになっている部分が大きい場合は、そこをレジン(歯科用プラスチック)でコーティングして覆ってしまいます。
被せ物を被せる
前歯と奥歯はエナメル質形成不全がよく見られる部位です。前歯の場合は見た目の審美性も考えて、被せ物で覆う治療を行う場合もあります。
被せ物を被せるには、前歯を全周囲に渡って削る必要があり、その後型取りをしてセラミックの被せ物を作製して被せます。
セラミックで被せ物を作ると、隣の歯との違いがわからない程きれいに仕上がりますが、自費診療のため治療費が高額になります。
子供のエナメル質形成不全に関するQ&A
エナメル質形成不全の主な症状は、白いまだら模様や茶色や黄色の変色部分が歯の表面に現れることです。また、重度の場合では、象牙質が露出したり、歯の表面がデコボコしていることがあります。
エナメル質形成不全の主な原因は次の3つです。
1.遺伝的要因。片方または両方の親がエナメル質形成不全を持っている場合、子供にも遺伝する可能性があります。
2.外傷や虫歯による損傷が原因。子供の頃に歯に外傷を受けたり、乳歯が虫歯で損傷した影響が永久歯に現れる場合があります。
3.胎児期に母親の栄養不良や異常が影響することがあります。
エナメル質形成不全の治療方法にはいくつかの選択肢があります。軽度の場合では、フッ素塗布を定期的に行うことで歯質を強化することができます。また、広範なエナメル質形成不全の場合は、レジン(歯科用プラスチック)で覆い、被せ物を使用することもあります。前歯の場合はセラミックの被せ物を使用し、見た目の審美性を考慮することもあります。
まとめ
エナメル質形成不全の子供は近年増えています。一番大切なのは、エナメル質形成不全の歯を虫歯にしないことです。子供の歯の表面の色などがおかしいと感じたら、早めに歯科を受診して、必要な処置を受けましょう。