入れ歯で熱い飲み物を飲めるのか、治療を検討される方は気になっているでしょう。入れ歯の正しい知識を得て、安全に熱い飲み物を飲めるように詳しくご紹介いたします。
入れ歯の材質による耐熱性
入れ歯には保険適用内の治療と保険適用外の治療があります。入れ歯は、人工歯と人工歯を支える床(しょう)から成り立ちます。保険適用外の入れ歯は歯科医院によって取り扱いが異なりますが、保険適用内の入れ歯は材料が限定されています。
保険適用内の入れ歯
多くの入れ歯は歯科用のプラスチックを材料に作製します。
熱に強い?
比較的耐熱性があり、通常の使用温度範囲内では問題ありません。しかし、極端な高温には弱いため、膨張し形状が変わる可能性があります。形状が変わってしまった入れ歯は、装着時のフィット感が悪くなることがあります。
入れ歯の寿命は?
保険適用の入れ歯は約3~5年程度ですが、継続的に高温の飲み物を摂取したり、日常の手入れを怠ると、入れ歯の劣化を早めることがあります。特に接着剤やクッション材に影響が出るケースが多いです。
保険適用外の入れ歯
自由診療になる入れ歯は様々な種類があり、歯科医院によって取り扱う種類は異なります。当院の場合、下記の保険適用外の入れ歯を取り扱っています。
金属床義歯
保険適用の樹脂の半分以下の薄さで床を作製できるため嘔吐反射を起こしにくく、食べ物の温冷の温度を感じられ、丈夫で安定しています。
スマートデンチャー
支台歯にかける金属のバネが無いため、金属アレルギーの方でも使用可能で、審美性が高いです。
チタン床義歯
チタンは生体親和性が高い材料であるため、人体になじみやすいです。
ゴールド床義歯
金はイオン化して体に溜まらない金属で、強度という点でもとても丈夫です。
ロケーター義歯
顎の骨にインプラントを埋入し、ロケーターというパーツで入れ歯を固定するため、バネが無く安定性に優れています。
マグネットデンチャー
歯根に磁性体を埋入し磁力により入れ歯を固定するため、バネが無く安定性に優れています。
金属で床を作製する保険適用外の入れ歯は、保険適用に比べて耐久性が向上します。金属は温度を伝達する性質がありますが、やはり過度な温度変化は避けるべきです。
熱い飲み物や食べ物は要注意!
入れ歯を装着し始めた初期は、飲み物や食べ物の温度が分からず、美味しさを感じにくいということがあるかもしれません。
保険適用の入れ歯は火傷に注意しよう
保険適用の入れ歯はどうしても床の部分を薄く作製できないため分厚く設計され、温度が遮断されてしまいます。保険の入れ歯で70℃以上の熱い飲み物を飲んでしまうと、入れ歯の変形もさることながら、入れ歯を装着していない口腔内を火傷してしまう可能性があります。飲み物の温度を適度に調整することが大切で、一般的に50~60℃程度の温度が入れ歯にとって安全ですので、熱い飲み物はしっかりと60℃以下に冷ましてから口に入れるようにしましょう。
入れ歯を外して食べてはだめなの?
どうしても食べたいからと、入れ歯を外して食べ物を食べたり飲むと、食道まで飲み込む嚥下(えんげ)が出来ない可能性があります。
- 入れ歯を外すと咀嚼がうまく出来ない
- 大きな塊のまま飲み込む
- 誤って気道に入ってしまう誤嚥(ごえん)を引き起こす
- 誤嚥がひどい場合は肺炎になるリスクがある
きちんと咀嚼して嚥下するためにも入れ歯の装用は守りましょう。
まとめ
入れ歯を使用している方でも、適切な方法を知っていれば熱い飲み物を安心して楽しむことができます。入れ歯の材質と耐熱性を理解し、適切な温度管理や手入れを心がけることで、入れ歯の寿命を延ばし、快適な生活を送ることができます。日常の小さな工夫で、大好きな熱い飲み物を楽しみましょう。入れ歯を保護しながら、安心して美味しい飲み物を楽しんでください。