オールオン4は、主に総入れ歯の方向きの治療法で、4~6本のインプラントを埋め込んだその日に、全ての歯が一体となった形の上部構造を取り付けるものです。
オールオン4では、1日で劇的に見た目が変わる反面、インプラントの周囲が絶対に歯周病にならないように注意しなければなりません。インプラント後の歯磨きの目的は、インプラント周囲炎を起こさないということに尽きます。オールオン4の毎日の歯磨きなどのケアについてご説明します。
目次
オールオン4とは?
オールオン4は、インプラント治療の一種で、顎の骨に4~6本のインプラントを埋入して、全顎の上部構造(総入れ歯のような一体型の義歯)を固定する方法です。奥歯側のインプラントを斜めに埋入することで、少ない本数で上部構造を支えます。
この治療法の大きなメリットは、即時荷重が可能で、手術直後から新しい歯(仮歯)を使い始めることができるという速さと固定性です。しかし、インプラントを長もちさせるためには、歯磨きによるお口のケアが不可欠です。
オールオン4の基本的な歯磨き方法
「オールオン4」のインプラント治療を受けた後の基本的な歯磨き方法は、インプラントの長期的な健康と機能を維持するために非常に重要です。特にインプラント周囲炎という症状を避けるためには、インプラントの周りを清潔に保つ必要があります。この炎症は、インプラント周辺の細菌感染によって引き起こされるため、正しい歯磨き方法を実践することが重要です。
1. 適切な歯ブラシの選択
- オールオン4のお手入れには、柔らかい毛の歯ブラシを使用することが推奨されます。硬い毛のブラシはインプラントや周囲の組織を傷つける可能性があります。
- 電動歯ブラシを使用する場合も、柔らかいブラシヘッドを選び、優しく磨くようにしましょう。
- ワンタフトブラシを使用すると、歯茎と上部構造の間の汚れを落としやすいです。
2. ブラッシングの方法
- 歯磨きは1日に少なくとも2回、特に食後に行うことが理想的です。
- オールオン4の上部構造は歯茎に似せた樹脂の上に人工の歯が並んで一体になっています。ブラッシングの際には、歯の部分だけでなく、歯茎と上部構造の境目にも注意を払い、軽い力で丁寧にブラッシングします。
3. 歯磨き剤などの選択
- 研磨剤が含まれていない、またはインプラントに安全な歯磨き粉を使用します。研磨剤入りの歯磨き粉はインプラントの表面を傷つけることがあります。
- 抗菌成分を含むマウスウォッシュを用いることも、インプラント周囲の健康を維持するのに役立ちます。
4. インプラント用の歯磨き剤などを使用する
- インプラント専用の歯磨き剤やうがい薬が市販されています。どれが良いかわからない時は歯科医院で扱っているインプラント用の製品を購入しましょう。
これらに気を付けて毎日のケアを行うことで、オールオン4インプラントは長持ちし、口内を健康に保つことができます。
定期的な歯科健診の重要性
オールオン4を維持するには、定期的な歯科訪問が不可欠です。専門の歯科医師による定期的なチェックとクリーニングを受けることで、問題がある場合は初期段階で発見され、適切な処置が行われます。通常は6ヶ月に1回の訪問をお勧めしますが、個々の状況によっては頻度が異なる場合がありますので、通院間隔は担当医の指示に従いましょう。
治療後のケアで注意すべき点とは?
オールオン4治療後のケアにおいて、特に注意すべき点は、インプラントと上部構造に害を及ぼす可能性のある行動を避けることです。これには、食事の選択から毎日の口内環境の管理などが含まれます。
1. 硬い食べ物は避ける
オールオン4は即時荷重という方法で行いますので、インプラントを埋入して仮歯をつけた直後にはリンゴなどをかじることが出来ます。しかしその後、インプラントが顎骨としっかり結合するまでの間は、硬いものを噛まずに安静にする必要があります。
そのため、ナッツやキャンディーのような硬い食べ物を噛むことは、上部構造やインプラントにダメージを与える可能性があるため、避けるようにしましょう。
また、極端に冷たい食べ物や熱い食べ物も、インプラント周囲の組織に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
2. 歯磨き粉の選択
オールオン4のお手入れにおいては、歯磨き剤の選択も重要です。研磨剤が含まれているものは避け、インプラント専用または研磨剤の含まれていない歯磨き剤を使用することが推奨されます。
これにより、上部構造やインプラント表面を傷つけることなく、清潔さを保つことができます。コンクールブランドの歯磨き剤やマウスウォッシュをお勧めしている医院が多いです。
3. 喫煙とアルコールの摂取
喫煙はインプラントの成功率を低下させる要因の一つです。タバコの煙に含まれる有害物質は、歯茎の血行を悪くして口内の治癒を遅らせ、インプラント周囲の組織に悪影響を及ぼします。
また、過度のアルコール摂取も、口内の乾燥を引き起こし、歯肉炎やその他の口内疾患のリスクが高まるため、避けることが望ましいです。
これらの行動を避けることによって、オールオン4のインプラントと上部構造を長期間保つことが出来ます。
定期的なプロケアの重要性
オールオン4治療を受けた後のインプラントと上部構造の維持には、定期的なケアが不可欠です。インプラントが機能しなくなる理由の第一位は歯周病ですので、歯周病にならないようにしっかりとケアを行いましょう。
定期健診は、インプラントと上部構造を長期にわたって保つために必ず受けましょう。
1. 定期健診の重要性
オールオン4は4~6本のインプラントによって上部構造を支えます。インプラントが一度骨としっかり結合すれば、その状態は持続しますがすが、それには適切なケアと定期的なチェックが必要です。
定期健診では、インプラントにぐらつきがないか、また上部構造に異常がないかをチェックします。これにより、問題点があれば早期発見し、大きな問題へと発展するのを防ぐことができます。
2. 専門の器械を使うプロのクリーニングの利点
歯科衛生士が専門の器械を使って行うクリーニングは、家庭でのセルフケアだけでは除去しきれない歯垢や歯石を効果的に取り除きます。
プロのクリーニングによって、インプラント周囲の歯肉炎のリスクを減らし、全体の口内健康を維持することが出来、インプラントの長もちに繋がります。
3. 定期健診の頻度の調整
患者さんの状態によっては、定期健診の間隔やクリーニングの頻度を調整する必要があります。歯科医師は患者さんのお口の状態やニーズに合わせて最適なケアプランを考え、常に口内健康状態を良い状態にできるよう支援します。
これらの専門的なケアにより、オールオン4のインプラントと上部構造は最適な状態で保たれ、患者さんは快適に日常生活を送ることができます。
オールオン4の一般的な問題と対策
オールオン4での治療後に問題が発生した場合は、早期に問題を認識して適切な対策を行うことが必要です。
1. 歯茎の炎症
インプラント周囲の歯茎の炎症は、口内ケアが十分に出来ていないことが原因で発生することが多いです。この炎症は、時に痛みや不快感を引き起こし、放置すると周囲の骨が破壊されてインプラントが抜けてしまう恐れがあります。
毎日の歯磨きを徹底し、定期的に歯科健診を受けて歯周病にならないようにすることが大切です。
2. 上部構造の緩み
上部構造の緩みは、インプラントと上部構造を結びつけるスクリューの緩みによって起こります。これは定期的な歯科健診で発見し対処することが重要です。
上部構造が緩むと食事中にものが噛みにくくなる不便や発音の問題が生じる可能性があるため、早めの対応が推奨されます。
3. インプラントの損傷
インプラント自体が損傷を受けることは稀ですが、インプラントに過度の力がかかったり、ケアが不十分な場合に発生することがあります。硬い食べ物を避け、適切な方法でケアを行うことで、このリスクを最小限に抑えることができます。
これらの問題が起こった時に速やかに対策を行えるように、定期健診は必ず受けるようにしましょう。
【動画】オールオンフォーを4倍理解できる解説動画
クローバー歯科クリニックあべの天王寺院の院長永井伸人がオールオンフォーについて解説します。
まとめ
オールオン4を長く機能させるためには、毎日の適切なケアと食べ物の選択、定期健診の受診などが重要です。これらの点に注意することで、オールオン4によって健康で快適な口内環境を維持することが出来ます。