大人の矯正ではマウスピース型矯正装置が人気ですが、子供の矯正でもマウスピースを使うことが出来ます。子供のマウスピース矯正としてインビザライン・ファーストという名称の装置がありますので、ご説明します。
目次
子供のマウスピース矯正とは?
小児矯正は主に乳歯から永久歯への生え変わりの時期に行われるため、担当医によって様々な治療方法が存在します。矯正装置の選択肢としては、固定式の装置と取り外し可能な装置の2種類がありマウスピース型矯正装置は取り外し可能な装置に分類されます
1期治療とは?
近年、子供の顎は小さく、そのために歯並びがガタガタの子供が多いという傾向があります。顎が小さいと永久歯が一列に並ぶだけのスペースがなく、歯が重なって生えてきたり出っ歯になってしまいます。
1期治療の目的は、子供の顎をこれから生えて来る永久歯がきれいに並ぶために必要な顎の大きさに成長させるサポートを行うことです。
スペースさえ十分にあれば、重度の不正咬合になるリスクが減ります。
インビザラインファーストの特徴
インビザラインファーストは、乳歯と永久歯が混在して生えている混在歯列期と呼ばれる、一般的には6~10歳の子供が対象になります。矯正歯科では1期治療と呼ばれる治療です。
但し、最適な治療開始年齢は身体の年齢ではなく、歯の生え変わりの状態によって決まります。
1. 見た目
ほぼ透明なマウスピースを使用しますので、装置が目立ちにくく、見た目を気にする必要がありません。
2. 痛み
マウスピース1枚あたりで歯を最大0.25mm、ゆっくりと動かしていきますので、痛みが少ないことが特徴です。
3. 素材
薄く弾力のある素材を使用しています。
4. 頻度
1~2ヶ月に1回の通院。通院時に担当医が治療の進み具合をチェックします。
5. 装着感
お口の中で違和感や締め付け感が少なく、装置が外れることも少ない。
6. 日常生活
食事と歯磨きの時にはマウスピースを外します。普段通りの食事と歯磨きが可能な反面、おやつや食間にコーヒー等を飲む際にも外す必要があるため、意外に面倒な一面もあります。
マウスピースをつけたままでスポーツや吹奏楽などの楽器の演奏が可能です。
子供のマウスピース矯正の治療の流れ
子供のマウスピース矯正の治療の流れは主に以下のようなものになります。
1. 初診相談
- 虫歯がないか調べる
- 舌が歯を押したり指しゃぶり等の癖がないか確認する
- 現在の歯並びの問題点と成長後の歯並びの予測
- 治療方針の説明。
2. 精密検査をする
- お口の中の写真撮影
- レントゲン検査
- 歯型取り
3. 治療方針を説明する
- 子供の矯正に使用する装置の種類の説明
- 治療期間の説明
- 費用の説明
4. 治療開始
- 歯型から作成されたマウスピースの最初の数枚をお渡しする
- マウスピースは約1週間で定められた順番の新しいものに交換する
- マウスピースを1日20時間~22時間装着する
- 治療が全て終わったら歯並びの後戻り防止のために最終のマウスピースまたはリテーナー(保定装置)を1年間程度装着する
マウスピースでどのように歯並びを治すの?
マウスピースの使用方法
マウスピースは約1週間で新しいものに交換していき、1枚あたり最大で0.25mm歯を動かすことが出来ます。歯を動かす速度がゆっくりなので、あまり痛みを起こしません。
マウスピースは1日に20時間~22時間装着することが必要ですので、必ず守るようにしましょう。
他の矯正装置との比較
子供の矯正に使用する装置には他にも様々な種類があります。子供不正咬合や顎のタイプによって担当医がどの装置が一番適切かを選択します。
マウスピース型矯正装置
透明で目立たない。痛みが比較的少ない。治療期間は約1.5年。装着時間は1日20時間。
固定式装置
目立つことがある。やや痛い。治療期間は約2年。24時間装着。
拡大床
顎を広げるだけなら目立たない。比較的痛みが少ない。治療期間は約2.5年。1日14時間の装着。
小児矯正は何歳から始めれば良い?
子供の矯正の開始時期は、何歳からというように年齢で決められるものではありません。乳歯から永久歯への生え変わりのスピードは一人ひとり異なります。子供のお口の状態を診ながら、適切な開始のタイミングを決定します。
主な目安としては、上の前歯4本が生え揃った時に矯正治療を始めると効果的です。例外としては、子供の受け口は3歳くらいから適切な治療を始めることが推奨されます。
子供のマウスピース矯正装置「インビザライン・ファースト」に関するQ&A
インビザライン・ファーストは、6~10歳の子供向けのマウスピース型矯正装置です。乳歯と永久歯が混在している混在歯列期に用いられ、顎の成長をサポートし、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを作ります。透明なマウスピースを使用し、目立ちにくいのが特徴です。
インビザラインファーストは、マウスピース1枚あたり歯を最大0.25mm動かすため、痛みは少ないです。ゆっくりと歯を動かすことで、子供が感じる不快感を最小限に抑えることができます。
インビザラインファーストは透明で目立たないのが特徴で、痛みが比較的少なく、治療期間は約1.5年です。これに対して固定式装置は目立つことがあり、やや痛みを伴い、治療期間は約2年です。拡大床(床矯正)は顎を広げることに特化しており、比較的痛みが少ないが、治療期間は約2.5年で、1日14時間の装着が必要です。インビザラインファーストは取り外し可能で、日常生活への影響が少ない点も他の矯正装置との違いです。
まとめ
インビザライン・ファーストは、子供の矯正に特化した透明なマウスピース型の装置です。1期治療を通じて、顎の成長をサポートし、きれいな歯並びを目指します。
痛みが少なく、日常生活への影響も少ない点が特徴です。他の矯正装置と比較しても、見た目の目立たなさや痛みの少なさで優れています。
治療は、虫歯の確認や舌の悪い癖のチェックから始まり、精密検査、治療方針の説明、治療開始へと進みます。開始時期は個々のお口の状態によって異なり、上の前歯4本が生え揃った時が一般的な目安です。
子供のマウスピース矯正装置「インビザライン・ファースト」に関する2つの研究を紹介します。
1. Lione et al. (2021) による研究では、インビザライン・ファーストシステムが成長期の患者における上顎のアーチの発達に効果的であることが示されました。この研究では、上顎の幅が最も大きく増加したのは上顎第一乳臼歯のレベルであり、インビザライン・ファーストシステムを用いた治療が有効であることが示唆されています。【Lione et al., 2021】
2. Pilipenko & Maksyukov (2021) の研究では、インビザラインシステムを用いた第II級不正咬合の治療が、成長期の患者において他の矯正装置に比べて効果的であることが示されました。この研究は、インビザラインシステムが治療中の快適さと患者のコンプライアンスの向上に寄与することを示しています。【Pilipenko & Maksyukov, 2021】
これらの研究によれば、インビザライン・ファーストは子供の上顎弓の発達を助け、第II級不正咬合の効果的な治療法であると結論づけられます。