クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
お子さんの虫歯がとても気になる保護者の方がおられる反面、「虫歯が出来ても歯医者で治してもらえばいい」と思っておられる方もおられると思います。子供の虫歯はどうしてできるのか、親に責任はあるのか? そして、予防する方法などについてご説明します。
子供の虫歯予防に対する親の責任とは?
離乳食に変わる時期にどれだけの虫歯菌がお子さんに感染するかで、そのお子さんの乳歯の虫歯発生率が変わります。離乳食期でのお母さんからお子さんへの虫歯菌の感染経路を断ってしまえば、お子さんが虫歯になる確率が低くなります。
米国では、虫歯治療や歯のクリーニングで両親の口腔内の衛生管理を徹底的に行うことで、子供の虫歯発生率が減っています。とはいえ、両親に虫歯がなければ子供が虫歯菌に感染することは絶対にないとは言い切れません。お子さんが両親以外の人と接する機会も十分にあるからです。
そのため、小学校の低学年までは、親が責任を持って子供の歯磨きを補助
してあげる必要があります。そもそも、小さなお子さん自身に完璧な歯磨きを求めることには無理があります。
子どもの虫歯は親の責任です。虫歯にならない方法は、予防管理を徹底する以外にないのです。
虫歯菌はどこからやってくる?
お子さんが虫歯になるのは歯の磨き方が悪いから、という理由だけではありません。虫歯になりやすい子となりにくい子には、歯の質の違いや遺伝によるもの、歯並びや生活習慣など、様々な因子があります。
まず、はっきりさせておきたいのは、虫歯はミュータンス菌などの虫歯菌と呼ばれる細菌に感染することによって発生します。そして、人が生まれた時のお口の中は無菌状態で、虫歯菌は存在していません。
では、虫歯菌は一体どこからやってきて子供の口の中に感染するのでしょうか?現在、この感染経路の殆どは母子間での感染とされており、1歳前後で母乳(ミルク)から離乳食に変わる時期に、お母さんからお子さんに虫歯が感染しているケースが多いのです。
小さい頃からかかりつけの歯医者をもちましょう
乳歯を虫歯にしないためには、子供の歯磨きの後で仕上げみがきをして、きちんと磨けていることを確認することが大事です。
しかし、そうはいっても、子供が歯磨きを嫌がったり、泣きわめいて仕上げみがきをさせてくれない、毎日他のきょうだいの子育てもあるので時間がゆっくり取れないなど、お母さんには様々なお悩みがあるかもしれません。
そんな時は、ぜひ歯科医院を頼って下さい。最初はお子さんも見慣れない歯医者の風景を怖がって、泣いてしまうかもしれません。そんな時、歯科医院では、お子さんを無理に診療チェアに座らせて押さえつけるようなことはしません。そんなことをしたら、一生のトラウマになってしまいます。
最初は怖がらずに診療チェアに座れることを目標にします。そして次はお口を開けられるようにと、少しずつ前に進めていきます。歯科医院側ではそのための様々な工夫をしていますので、安心して歯科のスタッフにおまかせ下さい。
子供の虫歯は親の責任かに関するQ&A
親の責任は、虫歯菌の感染経路を断つことと、子供の歯磨きを補助し、口腔内の衛生管理を徹底することです。
はい、小さい頃からのかかりつけの歯医者は、子供が歯磨きを嫌がる場合や毎日のケアが難しい場合など、予防と早期発見に役立ちます。
最初は無理に診療チェアに座らせず、怖がらずに座れることを目標にし、次にお口を開けられるようにするなど、少しずつ前に進めます。
まとめ
乳歯の虫歯は親(大人)の責任、という厳しいお話しをさせて頂きました。しかし、乳歯の虫歯がない状態で育つことは、お子さんにとって永久歯に変わってからも一生の宝物になるでしょう。お子さんの歯のことで何か異変に気付かれたら、いつでも歯科医院にご相談ください。