クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
虫歯は、子供の口腔健康に大きな影響を及ぼす重要な問題です。3歳までに虫歯の予防をすることが特に重要で、虫歯菌の感染を防ぐための対策をしなければなりません。ここでは、虫歯の原因や感染経路についてのご説明と、子供が虫歯にならないための対処方法をご紹介します。
子供の虫歯はどこから感染するの?
虫歯は、細菌による感染症です。虫歯菌は食事に含まれる糖分を分解して酸を出すことで歯を溶かしていき、虫歯を発生させます。そのため、まず子供を虫歯菌に感染させないようにする必要があります。
感染はご両親や周囲の人たちから
虫歯菌は、産まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には存在しません。ではどうやって赤ちゃんは虫歯に感染してしまうのかというと、虫歯菌はご両親や周囲の人たちから食器の共用などによって感染することがほとんどです。まずご両親や周囲の大人がそのことを理解して、赤ちゃんを虫歯菌を感染させないように努める必要があります。
虫歯の予防は3歳までにおこないましょう
口の中に虫歯菌が住みついてしまうかどうかは2歳半〜3歳までに決まってしまいます。3歳までに虫歯菌の感染を防ぐことができれば、虫歯になりにくい口腔内環境を作ることができます。乳歯に虫歯のない子供は、大人になっても虫歯になりにくいといえます。
子供が虫歯にならないための対処方法
子供が虫歯にならないためには、お口の中の虫歯菌の数を出来るだけ増やさないことが大切です。しかしお口の中には様々な細菌がおり、全てが歯や歯茎に悪い影響を与えるわけではなく、全て殺菌するということも出来ません。以下に、虫歯予防のために気を付けるべきポイントをご紹介します。
1. おやつの時間を決めて規則正しく食べる
虫歯菌は糖分を栄養として酸を作り出し、歯を溶かします。口の中に糖分が少ない時間を作るためには、おやつの時間を決めて与えることをおすすめします。また、だらだら食べると口の中に糖分が長い時間とどまるため、きちんと時間を決めて食べましょう。
2. 糖分の少ないおやつをあげる
おやつ選びも虫歯予防に重要です。糖分が多く含まれるおやつは避け、小分けにされた少量のおやつや野菜などの糖分の少ない食品を選びましょう。
3. 歯磨き習慣を子供のうちに身につけさせる
食後やおやつの後は、歯磨きやうがいをする習慣を子供につけさせましょう。歯磨きの習慣を子供の間に徹底させておけば、大人になっても維持出来ます。虫歯菌は食べかすの中に含まれる糖分から酸をつくりますので、食べかすが口の中にある時間を減らすために、食後の歯磨きやうがいの習慣を必ず身に付けましょう。
4. 歯医者の定期検診に行く
歯磨きを丁寧にしていると思っていても、歯と歯の間や歯と歯茎の間に歯垢がついたままになっていることが良くあります。歯磨きの癖を知るためにも、お近くの歯科医院で定期検診に行くことをおすすめします。定期健診は虫歯の早期発見につながり、虫歯が悪化する前に治療すれば早く治療が終わります。
虫歯の多い子供の将来の問題
虫歯の多い子供は将来的にお口の中や全身にさまざまな問題が起こる可能性があります。以下にその例をご紹介します。
- 顎の骨が十分に成長せず、歯並びが悪くなる
- 虫歯で歯が悪くなると噛み合わせに影響し、その結果子供の集中力が低下する
- 歯が悪いと奥歯をギュッと噛んで力を入れることが出来ないのでスポーツでの能力が低下する
- 歯が悪いとやわらかいものを食べがちになり糖分の摂取が多く太りやすくなる
以上のように、虫歯は子供の将来に影響を及ぼす可能性があります。虫歯予防のためには適切なケアと定期的な歯科健診を受けることが重要です。
虫歯になりにくい子供に関するQ&A
口の中に虫歯菌が定着するかどうかは2歳半から3歳までの時期に決まります。したがって、3歳までに虫歯菌の感染を予防する対策を講じることが重要です。この時期に予防対策を行うことで、虫歯になりにくい口腔内環境を作ることができます。
子供が虫歯にならないための対策として以下の点に注意しましょう。
1.規則正しいおやつの時間を設けることで、口の中の糖分を少なくする。
2.糖分の少ないおやつや野菜を選ぶことで、虫歯菌の数を減らす。
3.食後やおやつの後に歯磨きやうがいを習慣化させ、虫歯菌の活動を抑える。
4. 定期的な歯科検診に通うことで、早期に虫歯を発見して治療する。
虫歯の多い子供は将来的に以下のような問題が起こる可能性があります。
1.顎の成長が阻害され、歯並びが悪くなる。
2.虫歯により噛み合わせに影響し、集中力が低下する。
3.虫歯により奥歯をしっかり噛むことが難しくなり、スポーツ能力が低下する。
4.虫歯によりやわらかい食べ物を好む傾向があるため、糖分の摂取が増えて太りやすくなる。
まとめ
虫歯のなりやすさは3歳までに決まるということがわかりました。虫歯は細菌による感染症であり、感染はご両親や周囲の人たちから起こることが多いです。子供が虫歯にならないためには、食後の歯磨きの習慣を身につけ、虫歯菌の増殖を抑えることが重要です。
具体的な対策として、おやつの時間を決めて与えたり、糖分の少ないおやつを選んだりすることが挙げられます。食後の歯磨きや定期的な検診も重要です。虫歯が多い子供は将来に様々な問題を抱える可能性があることを理解し、定期的なケアによって子供の口腔健康を守りましょう。
虫歯になりにくい子供に育てるためには、以下の2つの研究で提案されている予防策が有効です。
1. MathurとDhillon(2018)の研究では、乳児期における早期の幼児性う蝕(ECC)の予防として、適切なオーラルヘルスケア、食生活の改善、規則正しいフッ化物の使用の重要性が強調されています。特に、夜間のミルクボトルや母乳の頻繁な使用を避け、砂糖や粘着性のある食品の摂取を控えることが推奨されています。【出典】
2. ClarkeとStevens(2019)の研究では、全ての子供たちに対するフッ化物バーニッシュの適用が、個々のレベルと集団レベルの両方で虫歯を防ぐための有効な方法であることが示されています。この研究は、フッ化物バーニッシュの適用が虫歯予防における重要な役割を果たすことを示しており、すべての健康管理者が子供のオーラルヘルスの向上に貢献することができるとしています。【出典】
これらの研究結果から、子供が虫歯になりにくくなるように育てるためには、早い段階からの適切なオーラルヘルスケア、フッ化物の使用、食生活の改善が重要であることが理解できます。規則正しい歯のブラッシング、砂糖の摂取を控える、定期的な歯科検診の受診などが、虫歯予防の基本となります。