クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
奥歯が抜けてしまった場合、入れ歯やブリッジやインプラントで治療を行います。1本だけ入れ歯にするのが面倒臭く、そのまま放置してしまう方もおられますが、その場合どのようなことが起こるのかご説明します。
奥歯を抜けたままにした時のリスク
奥歯が抜けてしまった後、歯医者で治療を行わずにそのままにしてしまった場合、お口の中では様々なことが起こります。
1.噛み合っていた相手の歯が伸びてくる
奥歯は上下の歯が噛み合っている状態になっていますが、上か下の片方の奥歯が抜けてしまうと、噛み合う相手の歯がない状態となります。
下の奥歯がない場合は、上の奥歯が伸びてくることがあります。上の奥歯がない場合は、下の奥歯が上に伸びてくることがあります。ゆっくりとした変化なので、気づかない程度かもしれませんが、その後入れ歯やブリッジ、インプラントで治療しようとすると、歯の高さがアンバランスになって治療出来ない場合があります。
2.他の歯が動いて歯並びが悪くなる
歯を失うと、噛み合う相手の歯が伸びてきたり、隣の歯が斜めになって倒れてくることがあります。歯1本分のスペースが空いたことで、他の歯も動いてしまい、少しずつ歯並びが悪くなって、矯正治療が必要になることもあります。
3.噛み合わせが悪くなる
抜けた歯のスペースに向かって周囲の歯が動いてくるため、噛み合わせが少しずつずれてしまい、ものを噛むときにしっかり噛めないという問題が出てくることがあります。
4.歯茎の骨が窪んでくる
歯がない部分は噛む時の刺激が骨に伝わらないため、少しずつ骨が痩せてきます。骨が痩せて減っていくと歯茎の位置が下がってくぼんでくるため、前歯の場合は治療をしてブリッジやインプラントで歯を入れたいと思っても歯茎のラインがきれいに出ない場合があります。
5.舌で歯がない部分を触る癖がつく
歯を失うと、舌先で歯のあった位置を触る癖がつく場合があります。その際に舌で周囲の歯を押してしまうと、周囲の歯の位置が少しずつずれて歯並びが悪くなることに繋がります。
6.発音しにくくなる
歯を失うとその部分から空気が漏れて発音がしにくくなる場合があります。特に発音に影響が出るのは「サ行」「タ行」「ラ行」で、舌で上顎の口蓋を弾くようにして発音するため、歯列に大きな隙間があるとはっきりと発音が出来なくなります。
7.老け顔になる
歯がないと噛む回数が減る影響でお口の周囲の筋肉があまり使われなくなり、頬などの筋力の低下が起こります。その結果、頬の位置が下がったり、頬の張りがなくなったりして、老け顔に見えるようになります。
8.頭痛・肩こりが起こる
奥歯を失った場合、逆の側の歯でばかり噛むようになりがちです。そうなると身体の全体の左右のバランスが崩れて、姿勢や骨格にも影響が出てくるため、頭痛や肩こりが起こる方もおられます。
奥歯が抜けたままで治療しない場合に関するQ&A
奥歯が抜けたままにすると、噛み合わせの問題や他の歯の動きによる歯並びの悪化、噛み合わせの不調、歯茎の骨の減少、舌で歯のない部分を触る癖の形成、発音の困難さ、老け顔の可能性、頭痛や肩こりの発生などのリスクがあります。
抜けた奥歯による影響として、噛み合わせの問題や他の歯の動きによる歯並びの悪化、噛み合わせの不調が挙げられます。また、歯茎の骨の減少や舌で歯のない部分を触る癖の形成、発音の困難さ、老け顔の可能性、頭痛や肩こりの発生も考えられます。
奥歯が抜けたままで噛み合わせの問題が生じると、歯の高さがアンバランスになって治療が困難になる可能性があります。また、ものを噛む際に十分な力をかけられず、噛み合わせが悪くなるため、食事や会話の制約が生じることがあります。
まとめ
歯が抜けた場合は、本数に関わらず治療することをお勧めします。そのままにしておくと噛み合わせや歯並びが悪くなり、見た目以外にも身体に悪影響が出てくる可能性がありますので、なるべく早めに歯科医院で相談するようにしましょう。歯を失った場合の治療方法はブリッジ、入れ歯、インプラントの3種類です。その治療が一番合っているのか、担当医とじっくり相談してお決めいただきたいと思います。