詰め物・被せ物

詰め物と被せ物の違いとは

詰め物と被せ物の違いとは

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

歯科でよく言われる詰め物と被せ物の違いについてよくわからない方もいらっしゃると思います。今日は、詰め物と被せ物の違いやそれぞれの特徴について詳しくご紹介いたします。

詰め物と被せ物の違いとは

詰め物と被せ物の処置、いずれかを行う一般的な歯科治療といえば、虫歯治療です。虫歯治療で詰め物や被せ物が必要な方には、歯科医師がきちんと説明し、決めていきます。

むし歯の治療の流れ

むし歯はう蝕(うしょく)とも呼ばれ、細菌感染が原因で起こります。歯垢(プラーク)や食べかすを餌にむし歯菌(ミュータンス菌)が酸を排出しています。その酸が原因で、歯の表面のエナメル質が溶けてしまい、穴が開き、変色を起こします。エナメル質の内部にある象牙質、更に神経(歯髄)にまで虫歯菌が進行してしまうと、重度の場合は歯が抜ける・膿が出る・歯茎の腫れなどの症状が出始めます。

詰め物と被せ物の違い

詰め物は、少し小さい虫歯のケースに使用する補修の材料です。歯科医院ではインレーと呼びます。虫歯菌で感染した部分を除去し、穴をインレーで覆う治療です。

被せ物は、詰め物で対処できない大きい虫歯のケースに使用する補修の材料です。歯科医院ではクラウンと呼びます。大きく歯を削って歯の形を整え、被せ物を被せる治療で、補綴(ほてつ)治療と呼びます。

詰め物の種類

詰め物の種類についてご説明します。

保険適用内の詰め物

保険適用内の費用で行える詰め物です。費用の安さもメリットです。

レジン

  • 歯科用のプラスチックで作製された詰め物
  • 金属アレルギーの方でも使用が可能な金属不使用の素材
  • 樹脂なので強度が弱く割れやすいため、前歯に使用可能
  • 天然歯に近い色で作れるが、プラスチックは吸水性があり年月を経ると着色を起こす

銀歯のインレー

  • 銀合金を材料にするため強度があり、奥歯に使用可能
  • 金属のイオン化によってある日突然金属アレルギーを起こすリスクがある
  • 色が銀色と目立ち、審美性には劣る
  • 表面に小さな傷がつきやすく、銀歯の表面に汚れがつきやすい
  • 経年劣化が起こりやすく、劣化すると歯と詰め物の間に隙間が生まれ、二次虫歯を起こす可能性がある

保険適用外の詰め物

保険適用外の自費診療で行う詰め物です。費用は保険適用内の治療と比べて高いですが、審美性やリスクを減らせるというメリットがあります。

コンポジットレジン

  • 一般的なレジンよりも強度が高い
  • 色や透明感などが天然の歯に近い
  • プラスチックは吸水性があり年月を経ると着色を起こす

セラミックインレー

  • 陶器と同じ素材から作製されるため金属を使用しない
  • 吸水性の性質はなく変色が起きない
  • 表面に汚れがつきにくい
  • 保険適用内の詰め物より精密に歯の型を合わせられるため、隙間がなく二次むし歯のリスクが減る
  • 歯の色とセラミックの色を合わせられるため、天然歯と見分けがつきにくい
  • 強い衝撃や噛む癖によっては強度面で少しデメリットがある

ゴールドインレー

  • 金合金や白金加金により作製されたインレーで強く噛んでも強度がある
  • 金は安定性が高く唾液による金属イオン化が起きにくい材料なので金属アレルギーを起こしにくい
  • 白い歯並びの中で金色が目立つため、審美性の面だけ劣る

被せ物の材料

被せ物の種類についてご説明します。

保険適用内の被せ物

保険適用内の費用で行える被せ物です。費用の安さもメリットです。

銀歯

  • 銀や金パラジウム銀合金を主成分として作製する冠
  • ある程度の強度はあるが接着して年月が経過したら、接着剤が口腔内に溶け出すことがある
  • 被せものと歯の間にわずかな隙間が生まれ、むし歯菌が侵入すると、二次むし歯を起こすリスクが高い

保険適用外の被せ物

保険適用外の自費診療で行う被せ物です。費用は保険適用内の治療と比べて高いですが、材料の種類が多く、審美性が高く、またリスクを減らせるというメリットがあります。セラミッククラウンはセラミックの材料を使用し、セレッククラウンを除き、歯科技工士が歯を作製します。

オールセラミッククラウン(e-max)

  • 透明性が高く、天然歯に一番近い色合いにできる
  • 噛む程度の強度はあるが、強い力をかけすぎるとひび割れたり、欠けることがある

ジルコニアセラミッククラウン

  • 二酸化ジルコニウムという人工ダイヤモンドと呼ばれる固さを持つ素材から作製する
  • 光の透過度はオールセラミックに比べて劣るため、審美性ではやや劣る
  • 上下の歯で噛み合わせる強度は問題ないが、固さにより噛み合わせがずれると、天然歯に痛みが及ぶ可能性がある

セレッククラウン

  • コンピューターがセラミックのブロックを歯の形に削りだす方法
  • 光学スキャンと呼ばれる歯の型どりが必要なく、嘔吐反射で型どりが難しい方には向いている
  • 人間が作製する歯と異なり、審美性という点ではオールセラミックやジルコニアセラミックに劣る

詰め物と被せ物の違いに関するQ&A

詰め物と被せ物はどう違うのですか?

詰め物は小さい虫歯に使用され、虫歯になっている部分を削って除去し、削った穴に詰め物(インレー)を詰めます。一方、被せ物は大きな虫歯に使用され、虫歯を削った後に型取りをして被せ物(クラウン)を作製して被せる治療です。

詰め物や被せ物の保険適用と保険適用外の違いは何ですか?

保険適用の詰め物や被せ物は費用が安く、保険が適用される範囲内で治療が行われますが、使える材料に制限があり、銀歯か歯科用プラスチックになります。一方、保険適用外の治療は自費診療であり、費用は高めですが、セラミックやジルコニア等の材料が使えるため審美性が高くリスクを減らせるメリットがあります。

まとめ


虫歯は放置すると食べ物を噛むことが難しくなり、大切な歯を失います。歯を欠損すると、隣の歯が空いたスペースへ移動して噛み合わせが悪くなることもあります。詰め物や被せ物の治療は歯の機能の改善のためにもしっかり対処をし、定期的にお口の中を健康に保つように歯医者さんへ通院しましょう。詰め物や被せもので気になることがあれば、かかりつけの歯医者さんへ遠慮なくお気軽にご相談ください。

歯科における詰め物と被せ物の違いに関する研究から、以下の情報を提供します。

1. 詰め物は、主に歯の欠損部分を補修するために使用されます。これには、ガラスイオノマーセメント、コンポジット、アマルガムなどの材料が使用され、主に小規模な破損に適しています。詰め物は、歯の構造を強化し、さらなる損傷を防ぐために使用されます。【Strietzel, 2010

2. 被せ物(クラウン)は、大きな損傷や崩壊した歯を覆うために使用されるもので、歯の形状、機能、見た目を復元します。これにはセラミック、金属、レジンなどの材料が用いられ、歯の大部分を覆い、噛む力を分散させることで保護します。【Nouzari & Moud, 2019

要約すると、詰め物は小規模な修復に使われ、被せ物は大規模な修復や全体的な形状復元に使用されます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院
院長 永井 伸人

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本顎咬合学会。

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