クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
虫歯には「なりやすい人」と「なりにくい人」がいます。その特徴についてご説明します。虫歯になりやすい・なりにくいは、毎日の食事などの生活習慣の僅かな違いによって起こります。逆にいうと、ほんの些細な食べ方などの習慣の改善で虫歯の予防が可能になります。
虫歯になりやすい人の特徴とは?
殆どの方が毎日2~3回の歯磨きをしているという調査結果があります。しかしきちんと歯を磨いていても虫歯になってしまう、虫歯になりやすい人がいます。どういう方が虫歯になりやすいのでしょうか?
1 唾液の量が少ない
唾液はお口の中の健康に重要な役割を担っています。唾液の機能には「歯の再石灰化」、「自浄作用」、「抗菌作用」などがあり、どれも虫歯予防に欠かせないものです。
しかし、疲れがたまったり悩み事でストレスが大きくなったり、常用しているお薬の服や作用や加齢によっても、唾液の量は変化します。
様々な理由で唾液の量が減ると、唾液の機能が十分に発揮できずに虫歯にかかりやすくなってしまいます。
2 虫歯菌の数が多い
お口の中に虫歯の原因となるミュータンス連鎖球菌がたくさんいると、それらの細菌が歯垢の中の糖分を栄養にして作り出す酸の量も増え、歯が溶かされて虫歯になるリスクが高くなります。
3 過去に虫歯治療した箇所がたくさんある
虫歯治療をすると、詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)をします。これらの詰め物・被せ物と天然の歯の間には隙間が出来やすく、歯垢がたまると細菌が繁殖しやすくなります。
そこにラクトバチルス菌という細菌が棲みつくと、虫歯を悪化させてしまいます。このラクトバチルス菌は腸内では善玉菌に分類されるのですが、お口の中では虫歯を悪化させる働きをします。
4 歯磨きが不十分で歯垢(プラーク)が取りきれていない
毎日歯磨きをしていても、歯と歯の間や歯と歯茎の間に歯垢がついたままになっていると、
その部分に細菌が棲みついて虫歯になってしまいます。
歯ブラシの毛先がきちんと細部にまで当たっているかを調べるには、プラークチェッカーと呼ばれる歯垢の染色剤を使います。
このお薬を使うと、歯垢がついている部分は赤く染まりますので、普段から磨けていない部分がはっきりとわかります。プラークチェッカーは歯科医院やドラッグストアで販売されています。
5 間食の回数が多い
食事をすると、お口の中は酸性に傾きます。その上、間食が多くダラダラと飲食を続ける癖のある方は、歯に歯垢がたまりやすい状態になります。虫歯は、虫歯菌(ミュータンス菌)が歯垢の中の糖をエサにして酸を作り出して、酸によって歯が溶けることで起こります。
つまり、しょっちゅう間食(甘い飲み物も含む)していると、歯が溶かされる時間が長くなり、虫歯が悪化しやすいということになります。
6 歯並びが悪い
歯並びが悪いと、歯磨きをしても磨き残しが起こりやすく、歯の表面に歯垢がついて汚れたままになっている箇所が多く出来てしまいがちです。歯に歯垢がついたまま時間が経つと歯垢の中で虫歯菌が増殖し、虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされて虫歯になってしまいます。
矯正治療をして歯並びを良くすることで、歯磨きがしやすくなり、歯垢がきれいに落とせるようになり、虫歯予防に繋がります。
虫歯になりにくくするためにはどうしたらいい?
では、虫歯になりにくい環境というのはどのようなものなのでしょうか? 以下にご紹介しますので、少しずつでも行っていきましょう。
1.フッ素の効果的な利用
フッ素は虫歯予防に効果的な成分で、フッ素を含む歯磨き粉やマウスウォッシュを使用することで、歯の表面を強化し、虫歯の発生を抑えることが可能です。
2.定期的な歯科検診を受ける
歯科医院での定期的な健診やクリーニングは虫歯の早期発見や予防には不可欠です。虫歯を早期発見出来れば、虫歯が進行する前に適切な治療を受けることが出来ます。
3.飲酒や喫煙は控える
タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、口内の環境を悪化させることで虫歯や口臭、口腔内疾患のリスクを高めます。飲酒はお口の中を乾燥させ、唾液の分泌を妨げる可能性があります。
4.寝る前には歯磨きしよう
寝ている間は唾液の分泌量が減りますので、お口の中に細菌が繁殖しやすい危険な状態になります。寝る前に丁寧は歯磨きをして歯垢を出来るだけ落とし、口内の細菌の数を減らすと、お口の乾燥による影響を出来るだけ少なくすることが出来ます。
虫歯になりやすい人の特徴に関するQ&A
虫歯になりやすい人の特徴は、唾液の量が少ない、虫歯菌の数が多い、過去に虫歯治療した箇所が多い、歯磨きが不十分で歯垢が取りきれていない、間食の回数が多い、歯並びが悪いなどがあります。
唾液の量が少ないと、唾液の機能が十分に発揮できず、虫歯の予防ができなくなります。唾液は歯の再石灰化や自浄作用、抗菌作用などを持っており、これらが十分に働かないと虫歯にかかりやすくなります。
虫歯治療した箇所では、詰め物や被せ物と天然の歯の間に隙間ができます。この隙間に歯垢がたまり、ラクトバチルス菌などの細菌が繁殖しやすくなります。これによって虫歯が悪化しやすくなります。
まとめ
虫歯になりやすい人となりにくい人の生活習慣の違いがおわかりになりましたか。歯磨きをしていても虫歯になってしまうのは、以上の5個の虫歯になりやすい特徴に原因があります。そのため、虫歯になりにくい生活習慣に変えるには、以上の5個の特徴の逆のことを心がければよいということになります。