クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
インプラントの手術には1回法と2回法という2種類の術式があります。それぞれの違いについてご説明します。
1回法は身体への負担が少ない
1回法は外科手術が1回のみで済みます。そのため、患者さんに手術のストレスがかかりにくいというメリットがあります。
1回法の場合に使用されるインプラントは、インプラント体とアバットメントが一つになった1ピースタイプのインプラントが使用されます。
1回法の手術の手順
【イラスト】
①歯茎を切開して歯槽骨に穴を開ける
②インプラント体を穴に埋め込む
③アバットメントの部分が歯ぐきから出た状態で骨と結合するまで数ヶ月待つ
④上部構造(被せ物)を装着する
1回法のメリット
1回法は手術が1度で済むため、患者さんの心身に負担を与えない
手術のコストを抑えられ、治療期間が短く済む
歯茎の傷が小さく、治癒の経過が早い
アバットメントが露出しているのでその日のうちに仮歯を入れられる→通常の食事ができる
1回法のデメリット
アバットメントの部分が露出したままで数か月の間、骨との結合を待つため、感染リスクがやや高まる
インプラントを入れる部位の骨が足りなかったり軟らかい場合、適応が難しい
2回法は感染リスクが低い
手術を2回行うので、2回法と呼ばれています。
当院で主に行っているのは2回法です。2回法は手術を2回行う必要があるため、通院回数や治療期間、費用が1回法よりも少し多くかかります。
2回法の手順
①一次手術で歯茎を切開してドリルで歯槽骨に穴をあける
②穴にインプラントを埋入する
③歯茎を縫合して一旦閉じて骨と結合するまで数ヶ月待つ
④二次手術で歯茎を再度切開してインプラントを露出させてアバットメントを連結する
⑤上部構造をアバットメントに装着する
2回法のメリット
1回法よりも感染リスクが低くなる。
安全性が高く、様々な症例に対応できる。
2回法のデメリット
外科手術が2回必要になる。ただし二次オペはごく簡単な処置のみ。
インプラントの構造
歯科インプラントは、歯を失った部分の顎骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込んで人工の歯をつくることで、噛み合わせや見た目を回復します。
インプラント体は小さなネジのような形をしており、現在使用されているインプラントの殆どはチタン製です。チタンという金属は生体親和性が高く、顎骨に埋入されて数ヶ月すると骨としっかりと結合する性質があります。そのため、インプラントはしっかりしていて良く噛めるといわれています。
まとめ
1回法と2回法の違いは、インプラント体が顎骨と結合するまでの間、1回法はインプラントが歯茎の上に出ており、2回法は歯茎を縫合してインプラントと骨の結合を歯ぐきの中に埋まった状態で待つことです。なお、1回法と2回法は治療の予後に関してはそれほど差はありません。
どちらの方法にもメリットとデメリットがありますので、それぞれ考慮したうえで選択しましょう。患者さんのお口や骨の状態によって治療法が変わってきますので、担当医とよく話し合って選択しましょう。